「JASRACとは?」カテゴリーアーカイブ

【2018年7月26日にて寄付金の清算が終了しました】

多くの皆様からのご寄付有り難うございました。

これまで、お預かりさせていただいた寄付金残金全額を
2018年7月26日にファンキー末吉さん(本名:末吉覚さん)にお渡しし
寄付金の清算が終了しました。

JASRACとの長い闘いにご理解ご支援いただき有り難うございました。

JASRACは現在も、ライブハウス演奏利用やBGM利用や一部の社交場での音楽利用、また今後は音楽教室などを対象に、どのJASRAC管理楽曲を何時どれだけ利用しても許諾する。という包括契約をしていますし、その包括的利用許諾料は利用曲の調査をJASRACがしないがために、正しい著作者に分配されないというブラックボックスを維持したままです。

日本国民の誰もが知っているような、作曲者や作詞者がはっきりとしている有名楽曲については、音楽出版社やレコード会社、レーベル等がJASRACに管理委託していた楽曲を引き上げて、自己管理する動きもあるので、これまでJASRACが年間1,000億円超えの収益を上げていた金額は減少に転じる可能性も高く、それを見越してJASRAC管理楽曲を一切利用していない人に対しても、ただ楽器が置いてあるというだけで、JASRAC管理楽曲を無許諾で利用する可能性を否定できないというだけで、上記のような分配できない利用許諾料金だけを集める包括契約が強要されることが考えられますので、ますます日本の音楽文化は、是正できないJASRACによって衰退の道をまっしぐらに進んでしまう懸念を抱えています。

日本の司法や法曹界が全体としてJASRACの不当な言い分を支持支援し続ける以上、音楽を愛する日本国民の皆様におかれましては、今後も市場が小さくなり、JASRACの縛りだけが理解不可能な状態で厳しくなりますが、残念ながら社会の変化を待つしか方策がありません。

日本で音楽に携わって生きてゆくためには、JASRACがどんなに理不尽な行いをしているとしても、逆らえば干される。という、まるで日本大学フェニックス反則タックル問題や、最近JOCにも告発状が送られた一般社団法人 日本ボクシング連盟の問題と同じ構図が透けて見えます。

しかし、JASRACはさらに巧妙です。これらの音楽やスポーツといった「 #文化問題 」の不正が絶えないのは、文化庁をまとめ、日本の教育文化を司る「文部科学省」が「日本医科大学」と「霞が関ブローカー」が絡む不正をしてきたという、自己不正に対して寛容で組織内部の間違いを正せない、自浄できない省庁である事が根本的な要因であり、そのような省庁を是正させることの出来ない日本国民全体の「 #文化の捉え方の問題 」です。

今後、何十年かかるのかわかりませんが、それでもJASRACは是正されなければならないと考えています。

なお、当WEBページ及びファンキー末吉 支援者の会Facebookページは、2018年末を持って閉鎖いたします。記述内容について保存しておきたい方はどうぞご自由に魚拓を取ってください。

以上、支援者一号からの最後のご報告となります。
本当に長い間有難うございました。m( _ _ )m

不誠実なJASRACの公開文書に対する上申書補充書面(2)全文掲載

JASRACは平成29年9月4日付で 「ファンキー末吉氏が文化庁に上申書を提出したことについて」という文章を公表しました。しかし、この文章記述の中には「裁判で示されていない事実があたかも判決で認められた」と書いてあります。JASRACはなぜこのような虚偽文章を公開したのでしょうか?

JASRACは一般国民や文化庁や文科省だけでなく法務省をも欺く音楽著作権管理団体なのでしょうか? 文化庁が真意を追求する事を強く求めます。

ファンキー末吉は、本日、平成29年10月3日付で文化庁に上申書補充書面(2)を提出いたしましたのでご報告いたします。

—————–以下全文掲載—————–
平成29年8月18日上申

上 申 者  末 吉  覚

対象事業者  一般社団法人日本音楽著作権協会

上申書補充書面(2)

(↑PDF版が開きますDLしてお読み下さい)

平成29年10月3日

文 化 庁 長 官  殿

上申者代理人弁護士  鈴 木 仁 志

  同      神 村 大 輔

  • 本書の概要

 

上申者は、頭書上申(以下「本件上申」)に関し、JASRACから平成29年9月4日付で「ファンキー末吉氏が文化庁に上申書を提出したことについて」との文書(以下「本件公表文」http://www.jasrac.or.jp/news/17/170904.html 添付資料32)が公表されたことを踏まえ、①これに記載されたJASRACの主張が事実と異なるものであることから、この点について説明を行った上、②本件上申に対するマスコミ及び一般の反響の大きさ並びに本件の解明及び国民への明確な説明が著作権管理行政において不可欠であることにつき、それぞれ具体的に説明すべく、本書面を提出します。

 

  • 本件公表文が事実と異なるものであることについて
    • 本件公表文は、第3段落で、

「今回末吉氏が文化庁に提出した上申書は、当協会が本件店舗の出演者等からの利用申請を受け付けなかったことや、使用料の分配が不透明であること等を指摘する内容ですが、これらは、同氏らが上記の一連の訴訟でも主張していたものであり、上記判決は、その主張を認めませんでした。」

と指摘する。

しかし、「上記の一連の訴訟」(本件訴訟)は、JASRACの上申者らに対する著作権侵害差止等請求事件であり、差止めと損害賠償の各請求の是非が争点となっていたものであって、本件上申に係る著作権等管理事業法違反(又はその趣旨の違反)にあたる不適切な事業運営の有無(下記①及び②)について、裁判所は判断をしていないから、「上記判決は、その主張を認めませんでした。」とのJASRACの主張は事実に反する。

  • 「ライブハウスの経営者」以外の第三者(出演者、主催者等)からの利用許諾を拒否する運用(著作権等管理事業法16条違反)
  • 包括契約+サンプリング分配に依拠し、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配せず、また実用に耐える曲別処理システムを利用者に提供することを懈怠した運用(同法20条の「委託者」又は「利用者」の「利益を害する」運営)
    • すなわち、上申者らは、JASRACからの著作権侵害に基づく差止請求及び損害賠償請求に対し、当該請求が権利の濫用又は信義則違反にあたるとの「権利濫用・信義則違反の抗弁」を主張し、多数の要素を主張した評価根拠事実の一要素として、上記①及び②の事情も併せて主張したにすぎず、確定した知的財産高等裁判所の判決[1](以下「本件判決」)も、上記①及び②の該当性の有無(著作権等管理事業法16条又は同法20条に該当するか否かの評価)については、以下のとおり、判断を行っていない。
  • 「1審被告らが、使用料が権利者に正確に分配されるものではない包括的契約が不適切であると考えたり(して)…不信感を抱くことは理解できないわけではない」(本件判決23頁)(注:括弧内及び下線は上申者。以下同じ)
  • 1審原告が1審被告らに対し締結を求めていた包括的契約が違法なものであると認められたとしても…無許諾での利用に対する使用料相当損害金の請求や差止請求を制限すべき理由に当たるということもできない。」(同頁)
  • 1審原告の原権利者への分配に関し1審被告らが問題視するような運用があるとしても、そのことをもって、管理著作物の使用者に対する請求が権利の濫用として許されないということはできない。」(同頁)
  • 「1審原告の原権利者への分配に関し1審被告らが問題視するような運用があるとしても、1審被告らが無許諾で管理著作物を使用している以上、1審被告らに対する使用料相当損害金の請求が信義則違反として許されないということはできない。」(同24~25頁)
    • 以上のとおり、本件判決は、「著作権侵害に基づく損害賠償請求が権利濫用・信義則違反に当たるか」という権利濫用・信義則違反の抗弁等の採否について、本件上申で指摘した不適切運用の有無にかかわらず、これらの抗弁は採用しない旨の判断を示したに過ぎず、本件上申に係る不適切な事業運営が存在しないとの判断は行っていない。

むしろ、本件判決は、「使用料が権利者に正確に分配されるものではない包括的契約が不適切であると考え…不信感を抱くことは理解できないわけではない」と述べている。それにもかかわらず、あたかも本件判決が本件上申の内容そのものを否定したかのような文脈において「上記判決は、その主張を認めませんでした。」と述べることは正当でない。

  • このように、本件公表文の「これらは、同氏らが上記の一連の訴訟でも主張していたものであり、上記判決は、その主張を認めませんでした。」との記載は、事実に反するものであるから、当該主張は、本件上申について行政が調査・指導・命令等を行わない理由となりえない。

 

  • 本件上申に対するマスコミ及び一般の反響について

 

  • マスコミ報道

本件上申は、以下のとおり、主要マスコミ各社によって取り上げられている上、本件上申に係るJASRACの運営に対しては、マスコミの特集記事においても疑問が投げかけられている。

  • 上申書及び(又は)記者会見について取り上げた時事報道
  • 共同通信、時事通信
  • 日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、産経新聞
  • 北海道新聞、北日本新聞、岩手日報、秋田魁新報、山形新聞、河北新報、デーリー東北、福島民友新聞、福島民報、神奈川新聞、千葉日報、新潟日報、信濃毎日新聞、上毛新聞、下野新聞、静岡新聞、岐阜新聞、福井新聞、中日新聞、大阪日日新聞、京都新聞、神戸新聞、中国新聞、山陽新聞、山陰中央新報、四国新聞、徳島新聞、高知新聞、西日本新聞、長崎新聞、大分合同新聞、宮崎日日新聞、琉球新報、沖縄タイムス
  • 日刊スポーツ、スポーツニッポン、デイリースポーツ
  • ハフィントンポスト、弁護士ドットコム その他
    • JASRACの運営に疑問を投げかける特集記事
      • 東京新聞 2017年8月27日朝刊(特集)(添付資料33)

「日本音楽著作権協会(JASRAC)への風当たりが強い。つい最近も有名ミュージシャンが、ライブハウスで演奏された曲の著作権使用料の分配が不透明だとして文化庁に上申書を提出した。…今回の上申書は、著作権料を分配される作曲家らの間にも渦巻くJASRAC批判の一端をうかがわせた。なぜJASRACは嫌われるのか。」

「東洋大の安藤和宏教授(著作権法)は、ファンキーさんが問題提起したサンプリング分配について『統計学でいうなら、全国で同じような曲が演奏されるという前提が必要だが、ライブハウスはそうではない。不適切なサンプリングの典型だ』と看破する。

音楽出版社代表でもある安藤教授は、JASRACに警鐘を鳴らす。

『ファンキーさんや音楽教室の怒りは、JASRACが公益性が高いにもかかわらず、不透明な部分があったり、強硬な態度を取るからだ。音楽業界の現場を知らず、保守的な態度になっている。批判には謙虚に耳を傾けてほしい』」

  • AERA 2017年9月4日号22~23頁(添付資料34)

「著作権の番人 前近代的な運用 JASRAC著作権使用料の分配問題」

「居丈高でピント外れ。『著作権の番人』に対するネットやSNSの反応は、おおむねそんなところだ。反論も自負も誇りもあるだろう。JASRACに末吉さんの行動や、他の法的措置についての事実確認も兼ねた取材の申し込みを何度も重ねたが、文書での回答も含めて断られた。国内市場シェア95%超を誇る音楽著作権管理の巨人の歩んでいく先が、見えない。」

  • 週刊東洋経済 2017年9月16日号98~101頁(添付資料35)

「ファンキー末吉激白 JASRACの運用は不透明だ!」

「末吉氏が『法律違反』と指摘するには根拠がある。それが著作権等管理事業法16条違反とされた『デサフィナード営業妨害事件』の判決だ。この事件は和歌山県のライブハウスとJASRACとの間の裁判だが、大阪高裁は、『演奏しようとする第三者が利用許諾の申し込みをした場合には、被控訴人協会(JASRAC)が、控訴人(店)による清算を利用許諾の条件とすることは、同法(著作権管理事業法)16条の主旨に反し許されないと解される』と示した(括弧内は編集部)。つまり、店とJASRACに争いがあっても、そこで演奏することをJASRACが妨げてはならないということだ」

 

  • 一般の反響(添付資料36)

本件上申に係る上記時事ニュースや特集報道に対する一般の反響(ヤフーニュースコメント)も、JASRACの運営に対する厳しい批判が圧倒的多数を占めている(以下に若干数の例を示す。)。

  • 「自分の曲の演奏に使用料取られた上に自分に帰ってこないのは確かにおかしい。JASRACのピンハネか。」
  • 「『統計学に基づいた一定の正確さはある』は凄いことを言っているよね

統計学で1%が正しければ、99%は間違っていても問題無い事になる

人様からお金を徴収しているのに、こんな不正確さでいいのかな?

音楽著作権の管理をJASRAC一つにでなくてもいいような気がする」

  • 「徴収には積極的だが、支払いには消極的ってだめでしょ。」
  • 「みんな薄々分かっている。

『包括契約』と『サンプリング分配』がJASRACの利権になっていることを。

分配の詳細が一切非公開ってどういうことだよ(苦笑)」

 

  • 結語

 

上記のとおり、本件公表文におけるJASRACの主張には理由がなく、むしろJASRACがこのような事実に反する主張を行うこと自体、本件上申に対して適切な説明を行えないことの証左であると思われます。

そして、これらの事情に係る説明は、音楽関係者はもとより、マスコミ及び一般利用者・一般聴衆の大きな関心事になっており、これらの解明及び国民への明確な説明なきままJASRACの運用の維持を許すことは、わが国の音楽著作権管理ひいては著作権行政に対する国民の信頼を著しく毀損するものと思料します。

したがいまして、上申者は、本件公表文において不可解な説明がなされていることも踏まえ、慎重な調査の上、本件上申書の上申の趣旨記載の各命令その他の適切な措置及び指導が行われることを切に望みます。

 

以上

[1] 知的財産高等裁判所平成28年10月19日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/203/086203_hanrei.pdf

文化庁に対する上申書要旨全文掲載

上申書要旨
(↑PDF版が開きますDLしてお読み下さい)

平成29年8月18日

文 化 庁 長 官  殿

上 申 者    末 吉   覚

上申者代理人弁護士  鈴 木 仁 志

同      神 村 大 輔

 

 対象事業者    一般社団法人日本音楽著作権協会

目 次

第1 上申の趣意… 2

第2 上申(1) — 管理事業法16条違反(不当な許諾拒否)… 3

 1 上申の趣旨… 3

 2 上申の理由… 3

3 結論… 6

第3 上申(2) — 包括契約・サンプリング分配による不適切運用    7

 1 上申の趣旨… 7

 2 上申の理由 - 総論… 7

 3 委託者の利益を害する事実 − 真の権利者に分配しない運用… 7

 4 利用者の利益を害する事実 – 円滑な利用を害するシステム… 17

 5 「包括契約+サンプリング分配」のその他の問題性…. 18

 6 不透明な運用(ブラックボックス処理)… 19

 7 結論…. 20

第4 結語… 21

——————————————————————————————————————-

  •  上申の趣意

上申者は、ロックバンド「爆風スランプ」のリーダー兼ドラマー「ファンキー末吉」として知られる音楽家であるところ、作曲家、演奏家、ライブハウス関係者の3つの立場を併有するとの稀有な経験をする中で、一般社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)の事業運営につき、下記のとおり、著作権等管理事業法(以下「管理事業法」又は「同法」という。)に違反する事実(同法21条1項1号)及び業務運営に関して委託者又は利用者の利益を害する事実(同法20条)が存在するとの認識に至った。

  • ライブハウスに係る演奏権管理事業において、「ライブハウスの経営者」以外の第三者(出演者、主催者等)からの利用許諾を受け付けず、もって正当な理由なく取扱著作物等の利用の許諾を拒むことを禁じた管理事業法16条に違反している。 【上申(1)】
  • 上記事業において、包括契約とサンプリング分配に依拠した運用を行うことにより、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配せず(真の権利者に分配しない運用)、また利用者の円滑な利用に適した実用的な曲別処理システムを利用者に提供することが容易であるにもかかわらず、これを懈怠し(円滑な利用を害するシステム)、もって「委託者」及び「利用者」の「利益を害する」運営(管理事業法20条)を行っている。 【上申(2)】

このため、上申者は、JASRACに対し、管理事業法19条所定の調査並びに業務改善命令(同法20条)及び(又は)事業の一部停止命令(同法21条1項1号)その他の適切な措置を講じられたく、文化庁長官に上申する。

  •  上申(1) — 管理事業法16条違反(不当な許諾拒否)
  •  上申の趣旨

JASRACは、その管理する音楽著作物(以下「管理著作物」という。)をライブハウスにおいて生演奏することを希望する出演予定者に対し、そのライブハウスが使用料相当額の清算を了していないとの理由により利用を拒否している。 【違反事実(1)】

また、JASRACは、ライブハウスにおける生演奏につき、ライブハウスの経営者以外の者(演奏者、ライブ主催者等)からの管理著作物の利用許諾申請を一律に拒否する運用を行っている。 【違反事実(2)】

これらの各運用は、いずれも「正当な理由」なく「取り扱っている著作物の利用の許諾」を拒む行為を禁じた管理事業法16条に違反し、「この法律…に違反したとき」(同法21条1項1号)に該当するとともに、「業務運営に関して委託者又は利用者の利益を害する」もの(同法20条)にも該当することから、文化庁長官におかれては、JASRACに対し、社交場(ライブハウス)に係る演奏権管理事業について、その一部停止命令(同法21条1項1号)を発出し、上記各運用を中止させた上、「ライブハウスの経営者」以外の第三者(出演者、主催者等)からの曲単位の利用許諾申請に応じるよう命ずる業務改善命令(同法20条)を発出する等の適切な措置を講じられたい。

  •  上申の理由
    •  違反事実(1) − 店舗の使用料清算未了を理由とする許諾拒否
      •  JASRACは、東京都八王子市横山町7丁目6番東亜建設第七ビル6階所在のライブバー「Live Bar Y.Z.→A(ライブバー エックスワイジートゥーエー)」(以下「本件店舗」)で演奏するために出演予定者が行った利用許諾申請に対し、

「下記の店舗による無許諾利用期間の使用料相当額の清算が未了である」

との理由の記載された書面を各申請者に送付し、その利用を全て拒否した(資料1の1〜4)。

  •  しかし、管理事業法16条は、「著作権等管理事業者は、正当な理由がなければ、取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒んではならない。」と定めており、その「正当な理由」について、大阪高等裁判所平成20年9月17日判決(デサフィナード営業妨害事件)は、次のように判示している。

「第三者が利用許諾の申込みをした場合に、被控訴人協会(注 JASRAC)が、控訴人による清算を利用許諾の条件とすることは、同法16条の趣旨に反し許されない」

  •  したがって、第三者(出演予定者)からの利用許諾の申込みに対し、店舗の側の「清算が未了」であることを理由として当該第三者の利用を拒否する運用は、「正当な理由」なく「取り扱っている著作物の利用の許諾」を拒む行為(管理事業法16条)に該当し、違法である。
  •  違反事実(2) − 経営者でないことを理由とする許諾拒否
    •  JASRACは、ライブハウスにおける生演奏につき、もっぱらライブハウスの経営者からの許諾申請のみ受け付け、経営者以外の者(演奏者、主催者等)からの許諾申請を受理しない運用を行っている。
    •  この点、JASRACは、ホームページ上において、「飲食店での楽器演奏」の「許諾方法」の欄において、「契約していただく『契約名義人』はお店の経営者の方です。」と記載している(資料23)。
    •  また、JASRAC職員も、JASRACが提起した訴訟(東京地方裁判所平成25年(ワ)第28704号著作権侵害差止等請求事件。以下「本件訴訟」という。)において、被告代理人の質問に対し、大要、以下のとおり証言している(資料2)。
  • 使用料規程上、許諾の申請はライブハウスの経営者にお願いするようにしている。
  • 出演者側が毎回1曲当たり幾らを払うと申し出た場合(「何曲なので幾ら」という申請)でも、そのような申し出は受け付けず、施設の経営者の方から申請してもらうようにしている。
  • ライブハウス以外では、場所貸しのような形で1曲1回の申請を主催者側から受け付けることはあるが、ライブハウスでは、そのような申請を受け付けず、ライブハウス側に手続を求めている。
    •  実際に、JASRACは、平成27年4月30日、本件店舗におけるライブイベントを企画・主催していた第三者がJASRACに対して行った利用許諾の申請に対し、以下のとおり、申請者が「(ライブハウスの)経営者」でないことを理由としてこれを拒否している(資料3)。

「理由 ライブハウスの営業におけるライブ演奏については、使用料規程中の『8 社交場における演奏等』の規定により、当該施設の経営者に利用許諾の手続をお取りいただくため。」

  •  しかし、前記大阪高等裁判所平成20年9月17日判決(デサフィナード営業妨害事件)は、以下のとおり判示している。

「同法(注 管理事業法)は、管理事業者の登録制度や委託契約約款及び使用料規程の届出・公示等により、著作権等の管理を委託する者を保護するとともに、著作物等の利用を円滑にし、もって文化の発展に寄与することを目的とする (同法1条参照)。そして、著作権者は利用許諾をするか否かを自由に決定できる(著作権法63条1項参照)ことも考慮すると、上記条項にいう「正当な理由」の有無は、著作権者 (著作権の管理委託者)の保護と著作権の円滑な利用という法の趣旨を勘案して、許諾業務が恣意的に運用されることを防ぐという観点から判断すべきである。」

「本件店舗で管理著作物を演奏しようとする第三者が利用許諾の申込みをした場合に、控訴人も利用主体と認められるという理由で利用許諾を拒むことは、当該第三者の管理著作物利用を過度に制約するおそれがあり、また、著作権者の利益という観点からは、控訴人に対し過去の使用料相当額の清算を促すという点では間接的である一方、当該利用許諾をすれば得られたはずの使用料収入が得られないという不利益もあるのであって、第三者が利用許諾の申込みをした場合に、被控訴人協会が、控訴人による清算を利用許諾の条件とすることは、同法16条の趣旨に反し許されないと解される。」

したがって、「ライブハウスの経営者」からの利用申請でなければ受け付けないとのJASRACの運用は、管理事業法16条に違反して「正当な理由」なく「取り扱っている著作物の利用の許諾」を拒むものであり、原著作権者(管理委託者)の保護と著作物の利用の円滑化により文化の発展に寄与するとの法の目的(同法1条)に反するものである。

  •  違反の重大性
    •  根拠の不明な運用

JASRACは、上記運用について、使用料規程中の「8 社交場における演奏等」を根拠として指摘している(上記資料2及び3)。ところが、上記項目中のどの規定がライブハウスの経営者以外の申込みを禁じたものであるかを明らかにしておらず、実際に、ライブハウスの経営者による申込み以外受け付けない旨を明示した規定は見当たらない。

  •  司法判断を軽視する運用

前記大阪高裁判決(デサフィナード営業妨害事件)は、JASRACを当事者とするものであり、「控訴人(店舗)も利用主体と認められるという理由で利用許諾を拒むこと」「控訴人(店舗)による清算を利用許諾の条件とすること」は許されない旨の同判決の判示は、JASRACに向けられたものであるが、JASRACは、上記運用を改めることなく継続している。

  •  違法運用の及ぼす悪影響

著作権等管理事業者が「正当な理由」なく利用の申込みを拒否した場合、権利を濫用し需要者等の権利を不法に侵害したものとして、利用申請者に対する不法行為が成立するものとされている(神戸地判昭和45年7月18日、前記大阪高判参照)。

実際に、本件店舗においても、各申請者は利用拒否によりライブを中止せざるを得なくなり、正当な収益活動及び演奏の披露の機会を奪われ、キャンセル等の対応に労力・時間・費用等を費やさざるを得ず、財産的・精神的損害を被っている(資料4及び5の1、2)。

また、前記のとおり、当該運用により、演奏される予定になっていた管理著作物の原著作権者(管理委託者)も、取得できたはずの使用料を取得できず、経済的な損失を被る上(前記(2)オ参照)、国民も生演奏の音楽を享受する機会を奪われることとなる。

そして、当該運用により、JASRACの「言い値」の使用料をライブハウス側が支払わない限り、そのライブハウスでの管理著作物の演奏について許諾を受ける方法はないことになり、出演者はライブを開催できなくなるため、JASRACの意に従わないライブハウスは、経営を維持することが困難となる。

  •  小括

このように、JASRACによる許諾拒否は、司法判断を軽視し、利用者に損害を与え、権利者に経済的な損失をもたらし、ひいては聴衆(国民)から音楽を享受する機会を奪うものであって、管理事業法の目的(1条)にもとる違法行為であるから、ただちに是正される必要がある。

  •  結論

以上のとおり、JASRACの各違反行為は、管理事業法16条の規定に違反し(同法21条1項1号)、委託者及び利用者の利益を害するものであって(同法20条)、その違反は重大である。

このため、JASRACに対しては、社交場(ライブハウス)に係る演奏権管理事業の一部停止命令(同法21条1項1号)を発出し、その事業の改善を行わせた上、併せて、社交場(ライブハウス)の生演奏について、ライブハウスの経営者以外の第三者(出演者、主催者等)からの曲単位の利用申請に応じるよう業務改善命令(同法20条)を発出する等の適切な措置を講じられたい。

  •  上申(2) — 包括契約・サンプリング分配による不適切運用
  •  上申の趣旨

文化庁長官におかれては、管理事業法20条に基づき、JASRACに対し、社交場(ライブハウス)における生演奏に係る演奏権管理事業の運営について、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配するための実用的な曲別処理システムを整備するよう命じる業務改善命令を発出する等の適切な措置を講じられたい。

  •  上申の理由 - 総論

管理事業法第20条は、著作権等管理事業者の業務運営に「委託者又は利用者の利益を害する事実」があるときは、文化庁長官が業務改善命令を発することができる旨定めているところ、JASRACは、社交場(ライブハウス)に係る演奏権管理事業の運営において、実際に演奏された楽曲を特定しない許諾・徴収・分配の方法に依拠した運用を行い、これにより、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配せず、もって「委託者の利益を害する」運営(管理事業法20条)を行っている(下記3)。

また、JASRACは、上記事業の運用において、利用者の円滑な利用に適した実用的な曲別処理システムを利用者に提供することが容易であるにもかかわらず、これを懈怠し、もって「利用者の利益を害する」運営(管理事業法20条)を続けている(下記4)。

したがって、JASRACの運用は、「委託者の利益」及び「利用者の利益」のいずれをも「害する」ものであるから、改善される必要がある。

以下、それぞれについて詳述する。

  •  委託者の利益を害する事実 − 真の権利者に分配しない運用
    •  総論

JASRACは、原権利者(管理委託者)の経済的利益を実現する目的で、委託者に代わって著作権使用料を集金するための法技術として、権利者から著作権の信託譲渡を受けているものである。

ところが、JASRACは、社交場(ライブハウス)の分野において、実際に演奏された楽曲を特定せず、特定少数の協力店におけるサンプリング調査において該当したわずかな楽曲が全国各地で日々演奏されたものと擬制し、その該当曲の権利者にのみ使用料を分配し、実際に全国各地で日々演奏されている大半の楽曲の権利者(委託者)には使用料を分配しない運用を行っている。

すなわち、JASRACは、前述のとおり、「ライブハウス」のカテゴリーにおいて、ライブハウスの出演者からの利用許諾申請を拒否し、許諾申請ができる者を「ライブハウスの経営者」のみに限定したうえ(前記第2参照)、「ライブハウスの経営者」を曲目の特定が不要な「包括契約」に誘導し(下記(2))、不適格・不透明な「サンプリング調査」に基づいて使用料の分配(下記(3))を行っている(別紙スライド3の図参照)。

なお、このような「包括契約+サンプリング調査」の方式を改め、権利者に正しく分配する曲別処理のシステムを導入することは、技術的・現実的に容易である。なぜなら、JASRACは、「コンサート」の区分において、すでにオンライン楽曲申請・報告システム(J-OPUS)を稼働させ、主催者・出演者がインターネットを通じて曲別の許諾申請を行えるようにしているからである(下記(4))(「コンサート」における演奏と「ライブハウス」での演奏の区別自体が相対的かつ曖昧であり、異なる取扱いをすることに合理性はない。)。

したがって、IT技術の進歩した現代において、「社交場(ライブハウス)」におけるライブコンサートに限って原始的なサンプリング分配方式を継続し、真の権利者(委託者)への曲別の使用料分配を懈怠し続けることは、合理的な理由なく委託者の利益を害するものであって、著作権等管理事業者の業務運営として不相当である。

以下、これらの点について順に詳述する。

  •  包括契約への誘導 – 演奏曲目を特定しない契約
    • 著作物使用料規定取扱細則

JASRACが定めた「著作物使用料規定取扱細則(社交場)」の4条1項には、

「営業者が本協会と著作物使用許諾契約を結ぶ場合は、包括的使用許諾契約(以下『包括契約』という。)によらなければならない。」

との定めがある(資料6)。

このように、JASRACは、「取扱細則」を利用し、ライブハウスの経営者と締結する契約の形態に関し、「包括契約によらなければならない」との制約を課していたものと思われる。

  •  包括契約書のみを送付する運用

実際に、JASRACは、ライブハウスの経営者に対し、一律に「音楽著作物利用許諾契約申込書」(面積と座席数で算出した月額固定使用料の記載欄のみがある「包括契約」の申込書)だけを送付し(資料7の1)、それが返送されない場合の制裁を示して、1週間以内にその申込書を返送するよう求め、包括契約の締結へと誘導している(資料7の2)。

  •  専門家の鑑定意見

この点、音楽ビジネス及び音楽著作権の専門家である東洋大学法学部法律学科・安藤和宏准教授は、前記訴訟(東京地方裁判所平成25年(ワ)第28704号著作権侵害差止等請求事件)の上告審において、鑑定意見書(資料8。以下「安藤鑑定意見」という。)を提出し、以下のとおり述べている(同10頁)。

「原告はライブハウスに対して、『音楽利用店の経営者の皆さまへ』と題する書類を送付しているが、この中には『音楽著作物利用許諾契約申込書』が同封されている。これは包括利用許諾契約であり、音楽の利用目的や演奏方法、管理著作物の月間演奏時間、標準単位料金(客単価)、店舗の面積、座席数等を記入すれば、店舗が原告に支払う月額使用料が算定されるというものである(甲第25号証)。この書類には、曲別許諾・曲別徴収については一切触れられていない。さらに原告のホームページにも、包括利用許諾契約の説明だけが記載されている。これらの事実は明らかに原告がライブハウスの経営者に対して、曲別許諾・曲別徴収ではなく、包括許諾・包括徴収に誘導していることを示している。実際に、2005年の使用料規程取扱細則(社交場)には、第4条に『営業者が本協会と著作物使用許諾契約を結ぶ場合は、包括的使用許諾契約(以下「包括契約」という。)によらなければならない。』との規定がある。取扱細則は文化庁長官への届出も必要のない内規であり、原告が細則によって被用者にこの運用を義務付けていたことは明らかである。」

  •  上記運用の導入理由 - 事務処理の便宜

このような運用は、委託者の保護(管理事業法1条)よりもJASRACの事務処理の便宜を優先するものと考えられる。

なぜなら、上記運用は、ライブハウスの経営者との間でひとたび「包括契約」を締結してしまえば、それ以上何らの作業も行うことなく、全国のライブハウスの口座から固定額が自動的に引き落とされるのを待つだけで、一網打尽的に巨額の金銭を取得することができるシステムであるからである(別紙スライド3の図参照)。

  •  包括契約方式による歪み

上記のとおり、全国のライブハウスの経営者に「包括契約」の締結を一律に義務付ける運用を行う以上、出演者(ミュージシャン)からの許諾申請も受け付けると、使用料を二重に徴収するおそれが生じうる。このため、JASRACは、(IT技術が未発達な時代において)出演者からの利用許諾申請を一律に拒否するとの運用を行わざるをえなかったものと思われる(別紙スライド3の図参照)。

ところが、JASRACにとって、実際に演奏された楽曲をライブハウスに報告させて集計することは、(ITシステムが未整備の場合には)煩瑣であり、サンプリング調査に該当した楽曲が全国各地のライブハウスで日々多数回演奏されたと擬制する「サンプリング分配」の方法に依拠することが簡便である(別紙スライド3の図参照)。

しかし、次に述べるように、サンプリング分配は、実際に演奏された楽曲の実態を正しく反映するものではなく、他人の権利の管理を委託されている事業者の行う分配方式として適切でない。

  •  サンプリング分配の不当性 – 演奏曲目を反映しない分配
    •  JASRAC概論

サンプリング分配方式では正確な分配を行うことが困難であることは、次のとおり、JASRACについて詳述した文献(紋谷暢男編『JASRAC概論 音楽著作権の法と管理』日本評論社、2009年)にも明記されている。

「近時の音楽利用のデジタル化や音声認識技術の進歩等により技術的な手段で利用作品の全量データを入手することが可能となる分野が増加してきた。このため、JASRACでは、このような分野については、順次、従来のサンプリング分配から、より正確な分配が可能なセンサス分配に分配方法を移行させてきており、2009年4月現在、サンプリング分配を実施しているのは、テレビ等におけるレコード放送、社交場における生演奏、貸しレコード、有線ラジオ放送等の4つの利用区分のみとなっている。」(同書129頁)

「社交場における生演奏の中でも、いわゆるライブハウスにおける利用曲目には、日々異なる演奏者が出演して自分の作品を演奏する場合が多いという特殊性があるため、サンプリング調査のみでは正確な分配が行えない場合がある。」(同上)

「JASRACは、この分野において著作権管理を行う最大の管理事業者として、更に管理の充実を図るべき社会的責任を負っているといえよう。」(同121頁)

  •  安藤鑑定意見

安藤鑑定意見(14〜15頁)は、以下のとおり、ライブハウスの特殊性からして、そもそもサンプリング調査は分配の資料として全く適していないと述べている。

「周知のとおり、ライブハウスでは出演者のオリジナル楽曲を演奏するのが通常の形態であり、演奏楽曲は出演者によって大きく異なるため、『このライブハウスで演奏されている楽曲は、ほかのライブハウスでも演奏されているはずだ』という推定が働かない。つまり、ライブハウスにおける利用曲目データの収集には、サンプリング調査がまったく適していないのである。したがって、サンプリング調査を続ける限り、原権利者に使用料が正しく分配されないことは明白である。」

  •  サンプリング分配の不当性を示す実例
    • 上記のとおり、「ライブハウス」の分野においてサンプリング方式が不適格であることは明らかであるが、以下の各例が示すとおり、上記運用は実際上も不相当である。
    • ファンキー末吉の例

上申者は、ドラマー兼作詞作曲家を務めるロックバンド「X.Y.Z.→A」において全国ツアーを行い、自作曲を延べ数千回にわたり演奏してきたが、2000年4月から2010年3月までの10年間に行ったライブの日付、場所、当該期間におけるJASRACからの使用料分配実績(対象曲と分配額)を調査したところ、全都道府県の主要なライブハウスで計204回ものライブを行いながら、「社交場」での演奏の使用料は1円も計上されていなかったことが判明した(資料9)。

  • 「初恋サイダー」の例

シンガーソングライターの「しほり」(中根しほり氏)は、人気アイドルユニット「Buono!(ボーノ)」[1]のために作曲した「初恋サイダー」(資料10)について、JASRACに管理を委託している。

上記楽曲は、持ち歌の少ないアイドルがこぞってライブでカバーする定番曲となっており(資料11)、「初恋サイダー歌われすぎ問題」との名で社会現象化し、作者が多額の印税を得ている(金の卵を産む鶏)との憶測を呼ぶまでになっている(資料11及び12の1~3)。

ところが、実際には、「初恋サイダー」のライブハウスにおける著作権使用料は、作曲者のしほり氏のもとにJASRACから1円も分配されていない(資料12の1~3、資料13)。

  • 資料13

「『歌われすぎ現象』曲の明細を確認。 14年3月イベント使用料¥2531 ライブハウス使用料 ¥0 ∑(゚Д゚) 14年3〜6月分頃の配分。 運悪く1円も分配されてない例ですね。ライブハウスが支払ったお金は一体どこへ行ったのでしょう?」

このため、同氏は、SNS上において、「せっかく皆さんに愛され歌っていただいているのに、ライブハウスが支払った分が、『包括契約』のため公正に作家に分配されていない現実を、多くの人にまず知っていただけたら嬉しいです。」と述べている(資料13)。

この点、上記指摘を行った同氏に対し、JASRACの職員は、「いつどこで誰がカバーしたかをしらべて提出すれば、計上されていなかったぶんはお支払いできる」「調べていただければお支払いします」との回答に終始している(資料13)。

  • 資料13

「私が自分で、いつどこで誰がカバーしたかをしらべて提出すれば、計上されていなかったぶんはお支払いできる、とのことでした。

個人じゃ把握できないデータを調べるのがJASRACさんのお仕事なのでは?

という質問には、無言で、ただ、調べていただければお支払いします、の一点張りでした。」

このように、JASRACは、委託者から管理を委託された楽曲について、委託者自身に調査を行うよう求め、それがなされない限り委託者には使用料を分配しないことを自ら明らかにしている。

その上、JASRACは、ライブハウスやイベンターがJASRACに曲目報告を行った場合でも、記録やデータは残っておらず、それらの資料を調査することもできない旨の説明を行っている(資料13)。

  • 資料13

「ライブハウスやイベンターさんが申請しているのに、ただしく作家に還元されていない、JASRAC問題。」

「申請データも記録として残していないか調査もできませんとのこと。」

「そのように申請できるようになったのに、抽出店以外の申請データは記録も残していないそうです。RT @utsuroyi: @shihori94 今やPCが有るんだから申請書式を整えて集計すれば、きっちり計算できそうなのに……。」

「申請された全データくらい権利を管理する機関としては保持しておくべきではなかろうか?」

  • 海保堅太郎氏(SONALIO)の例

人気ポップ・ミュージックグループ「SONALIO」(メリディアンローグ)のリーダー兼ドラマーである海保堅太郎氏は(資料14)、自身のウェブページにおいて、「JASRACの分配の不明瞭さをどうにかしたい」と題する以下の記事を掲載している。

(資料15 http://kntr.world-scape.net/?p=206JASRAC

「JASRACのブラックボックス

例えばぼくのバンド「SONALIO」や、その前身である「メリディアンローグ」の曲の一部はJASRACに登録されている。

そしてもちろん、今までに何十回もライブハウスでその曲たちを演奏している

だから当然、ライブハウスの人たちはJASRACにお金を払っている

しかし、ぼくたちがJASRACから分配された「演奏権」に関する印税は、ここ10年振り返っても、なんとゼロなのだ。

明らかに矛盾している。」

「演奏権の著作権使用料については他にも多く不満の声を聞く。

カラオケを大音量でかけつつ、それに合わせて生バンドが演奏してくれることにより、お客さんは生バンドで歌う体験ができる、という業態で人気のお店「BAN×KARA」オーナーの滝沢杏奈さんによると

『うちの店はカラオケ流す著作権料プラス生演奏分の著作権料でダブルで毎月支払ってるよ!それが還元されてないとか』

とのことで、使用料の「徴収」の方はかなり熱心に行われている印象だ。それに対して「分配」がここまで杜撰だと

『毎月きちんとJASRACに払ってんのに還元されてないならうちの店来てくれるアーティストに一杯奢ったほうがよくない?』

と言いたくなる気持ちは分かる。」

「『何十回も何百回も演奏している(されている)のに納得感のある印税が入ってきていない』というアーティストが少なくとも複数存在するという事実から、JASRACの現状の分配方法に問題があるのは間違いない。」

  •  小括

このとおり、JASRACの行うサンプリング方式の使用料分配は、理論的にも現実的にも実態を反映しないものである。

したがって、サンプリング以外の方法が技術的に採りえない等の特段の事情がない限り、委託者の利益を図ることを責務とするJASRACにおいて、サンプリング方式を用いることは相当でない。

しかし、次に述べるとおり、サンプリング以外の方法(オンラインによる曲別処理システム)を採ることは容易である。

  •  曲別処理システムの構築の容易性
    •  楽曲検索システムの存在 - J-WID

JASRACは、1999年より楽曲検索システム「J-WID」の運用を行っている(資料16)。

これを用いて楽曲を検索すると、その楽曲に関する情報を集約した画面が現れ、作品コード、権利者、作詞・作曲・出版者、信託状況、所属団体、管理状況(権利の種別)、作品名・副題、アーティスト名等の情報が表示される(資料17の1、2)。

したがって、上記検索システム(データベースを含む。)の画面上に、その楽曲の許諾申請ボタンを付加し、許諾システムと支払処理システムを接続する等の設計を行えば、容易に曲別処理のシステムを構築することができる。

  •  「コンサート」におけるオンライン曲別申請 - J-OPUS

現に、JASRACは、平成27年3月31日、「演奏利用申込/契約施設利用曲目報告システム」(J-OPUS:JASRAC Online Program Used for Stage & Concert)の運用を開始し(資料18の1、2)、コンサート等での演奏について、J-WIDの楽曲検索システムと連動させる形で、演奏者(主催者)がオンライン上で曲別の利用許諾手続を行うことができるシステムを利用に供している(資料18の2)。

  • 資料18の2

「コンサート・イベントなどで音楽をご利用になる方

コンサートやイベントなど、各種催物でJASRAC管理楽曲を演奏利用される場合には、 本サービスによりインターネット上から利用許諾手続きをお取りいただくことができます。

ご利用になる曲目の権利情報は、曲目情報を登録する画面から「J-WID Master」を開いてご確認いただけます。」

このように、JASRACは、「コンサート」等のカテゴリーにおいて、出演者がインターネットによる曲別の利用許諾申請手続を行えるシステムをすでに稼働させている(別紙スライド1の図参照)。

したがって、JASRACが「ライブハウス」のカテゴリーにおいて同様のシステムを稼働させることは容易である。

  •  「ライブハウス」にはオンライン曲別申請を認めていない

ところが、JASRACは、J-OPUSにおける曲別の利用申請を「コンサート」等に限定しており、「ライブハウス」での生演奏についてはこの取扱いを行っていない(資料18の2、別紙スライド2の図参照)。

すなわち、J-OPUSのシステムは、「ライブハウス」のカテゴリーにつき、JASRACと「包括契約」を締結している「経営者」に対して、曲目の「報告」を行えるサービスを提供するにすぎず、「出演者による申請」や「曲別申請」は認めていない。

  • 資料18の2

「ライブハウスなどで利用された曲目をご報告いただく方

ライブハウスなどの飲食店でJASARC管理楽曲を演奏利用することについて、 すでにJASRACと包括的利用許諾契約を結んでいる方は、本サービスによりインターネット上から利用曲目のご報告をいただくことができます。」

このように、JASRACは、「コンサート」について、出演者・主催者等がオンラインで「曲別申請」を行うシステムを稼働させながら、「ライブハウス」については、当該システムを未だ利用者に提供していない(別紙スライド1及び2の図参照)。

  •  安藤鑑定意見

上記の点につき、安藤鑑定意見も、JASRACの規程上あいまいな「コンサート」と「ライブハウス」との区別に従い後者のみサンプリング分配を続けるJASRACの運営について、次のように批判している。

「原告はライブハウスとコンサート・ホールの違いを明確に定義していない」(13頁)

「ライブハウスでの演奏においては、放送のように大量の音楽著作物を利用するわけでもなく、またJ-OPUSというシステムを利用すれば、原告の管理著作物の利用者はだれでも容易に全曲報告することができる。さらにコンサート・ホールでの演奏利用については曲別徴収のため、原告は利用者に対して全曲報告を要求している。したがって、ライブハウスでの演奏において、サンプリング調査を行う必然性・正当性はまったくない」(15頁)

  •  オンラインでの使用料徴収も容易であること

曲別処理のオンライン・システムを構築するには、申請者から曲別で使用料を徴収するシステムも必要であるが、JASRACのホームページにはすでに「使用料計算シミュレーション」が構築されていることから、J-OPUSにも使用料計算のシステムが実装されているものと考えられる。また、J-OPUSでは、請求書を送付した上で使用料を徴収する手続がすでに稼働しており(資料19)、ライブハウスにおいても使用料の徴収を行うことは可能である。

加えて、オンライン・ショップ等で多様な決済システムが利用されている今日、オンライン上で申請者による簡易迅速な使用料支払いを可能とするシステムを構築することは容易である。

例えば、クレジット・カード、「Suica」「Edy」「nanaco」などのカード型電子マネー、プリペイドのポイント等を購入するサーバー型電子マネー、ネットバンキング、「ペイジー(Pay-easy)」等によるスマートフォン等での決済など、オンライン決済システムとしてすでに多数の選択肢が用意されており、これらを一括して代行するマルチペイメントサービス(三菱UFJニコス、ペイジェント、ウェルネット、GMOペイメントゲートウェイ等)も多数存在する(資料20の1〜3)。

したがって、J-OPUSにおいてこれらのオンライン決済サービスを利用すれば、社交場(ライブハウス)での演奏につき、ユーザーが簡単に利用できるオンライン曲別申請と曲別支払いのシステムを構築することは容易である(別紙スライド4の図参照)。

  •  小括

このとおり、JASRACは、曲別の処理システムを設けることが容易であるにもかかわらず、IT技術が未発達な時代の遺物である「包括契約+サンプリング分配」の方式に固執し、理論的にも現実的にも演奏曲目の実態を反映しない運用を継続することにより、使用された楽曲の委託者に分配を行う基本的な責務を懈怠し、もって「委託者の利益を害する」運営(管理事業法20条)を行っている[2]

  •  利用者の利益を害する事実 – 円滑な利用を害するシステム
    •  出演者の曲別の許諾申請を拒否する運用

JASRACが「ライブハウス」における許諾申請者を「経営者」のみに限定して、出演者からの許諾申請を拒否し、もってその円滑な利用を害していることは、すでに述べたとおりである。

  •  J-OPUSの不提供

JASRACがJ-OPUSの使用を「コンサート」等の利用者に限定し、これを「ライブハウス」の利用者に提供せず、その円滑な利用を害していることは、すでに述べたとおりである。

  •  曲別の利用を阻害する前近代的運用

なお、JASRACの規程上、ライブハウスの経営者が曲別に事前申請を行う方式についての規定も形式的に存在しているが(利用のたびに1曲1回の使用料を支払う方式 資料22)、上記方式は、実用に堪えない前近代的なものであり、現実に選択可能なものではない。

すなわち、JASRACは、上記方式について説明したウェブページにおいて、申請書類として「利用許諾契約申込書」と「利用明細書」が必要である旨指摘するのみで、それらがどのような書式(フォーム)であり、どのように記載し(記載例)、どのような方法で提出すればよいのか(提出方法)等、利用のために必要な情報を掲載していない(資料23)。

これに対し、JASRACは、「コンサート」における曲別許諾のウェブ案内において、申込書類の作成、提出、使用料の支払いなど許諾申請手続の詳細な流れを掲載しており、演奏利用申込書及び演奏利用明細書のフォーム並びにそれらの記入例がダウンロードできるように配慮した上、使用料のシミュレーションもできるようにしている(資料24)。

このため、「ライブハウス」において曲別の許諾申請を行おうとすると、「ライブハウス」用の書式ではない「コンサート」用の「演奏利用明細書」を流用し、これをプリントアウトした紙にJ-WIDの検索画面で表示された楽曲の詳細情報を逐一手書きで記入して申請書類を作成し、これらのペーパーをJASRACの支部まで日々持参又は郵送する等の極めて迂遠な方法を強いられることとなる(資料23及び25)。

利用者にとって、このような不便を強いられる曲別許諾申請の方式を選択することは、事実上困難である。

  •  結論

上記の諸問題は、JASRACが「コンサート」等について運用しているJ-OPUSのオンライン曲別申請システムを「ライブハウス」にも拡張すればすべて解決するものである。

ところが、JASRACはこの容易なソリューションを実行しようとせず、合理的な理由なく円滑な利用を阻害し、もって「利用者の利益を害する」運営(管理事業法20条)を行っている。

  •  「包括契約+サンプリング分配」のその他の問題性 — 独占禁止法の観点

ライブハウス経営者を包括契約に誘導するJASRACの運用は、独占禁止法の観点からも疑問がある。

周知のとおり、最高裁判所平成27年4月28日判決は、JASRACと放送事業者との包括契約につき、JASRACの主張を排斥し、「ほとんど全ての放送事業者との間で本件包括徴収による利用許諾契約を締結しこれに基づく放送使用料の徴収をする行為」について、「放送事業者において、他の管理事業者の管理楽曲を有料で利用する場合には、本件包括徴収による利用許諾契約に基づき参加人に対して支払う放送使用料とは別に追加の放送使用料の負担が生ずることとなり、利用した楽曲全体につき支払うべき放送使用料の総額が増加することとなる」として、「他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にする効果を有するものというべきである」と判示している。

最高裁の上記判断は、直接的には放送事業者についてのものであるが、その趣旨はライブハウスにも当てはまる。なぜなら、JASRACがライブハウス経営者を一律に「包括契約」に誘導し、「ほとんど全ての」ライブハウス経営者との間で「包括契約」を締結して使用料を包括徴収していること、利用者が別途の管理事業者への使用料負担を嫌うであろうこと等の事情は、ライブハウスでも同様であるからである。

実際に、わが国のほとんどのライブハウスが包括契約によりJASRACに囲い込まれている現状において、その市場支配を切り崩すことは容易でなく、他の管理事業者は未だ演奏権ビジネスに参入できておらず、JASRACの独占状態が続いている。

(この点、曲別の申請受理・清算(徴収)を行うことのできるオンラインのプラットフォームが構築されれば、他の管理事業者が演奏権ビジネスに参入することは現実的に可能である。)

したがって、「包括契約」を基軸とするJASRACのシステムは、複数事業者による競争を想定した管理事業法の立法の趣旨並びに独占禁止法及び上記最高裁判決の趣旨に照らし、ライブハウスのカテゴリーにおいても改められるべきである。

  •  不透明な運用(ブラックボックス処理)
    •  分配ルールの不開示

JASRACは、社交場(ライブハウス)における分配につき、「一部の契約店舗の利用曲目を調査」してそれを「分配資料」とするサンプリング方式により行う等の抽象的な説明を公表するに止まり、実際に分配する際の具体的な算定ルールを明らかにしていない(資料26の1,2)[3]

このため、JASRACに楽曲の管理を委託した権利者も使用料を支払う利用者も、利用者の支払った使用料がどの程度その曲の権利者に分配されるかを知りえない。

また、JASRACは、実際に利用した楽曲の報告があった場合に、その楽曲の使用料の分配をどのように行うか(報告された楽曲とサンプリング調査にヒットした楽曲との間で、徴収した使用料をどのようにして分けるのか等)等の分配のルールを公表しておらず、JASRACの会員であった上申者がその説明を要求しても、これを拒否している。

このようなJASRACの運用は、公共的役割を担う著作権管理事業者の金銭処理のあり方として相当でない。

  •  サンプリング調査の不透明性

サンプリング調査そのものの透明性についても疑問がある。

JASRACは、サンプリング調査における標本(サンプル)の抽出方法について、「使用の時期、地域等を参酌し、理事会の承認を得て、細則で定める。」としか分配規程に規定しておらず(注4参照)、具体的な抽出方法を公表していない。これでは、サンプル店がどのように決められているのか、サンプル店舗の音楽カテゴリーに偏りがないか、特定の「一部の契約店舗」ばかりが選ばれていないか等について検証することもできない。

そして、実際に、JASRACがサンプル調査を行う「一部の契約店舗」(注4参照)の選定には偏りが見られる。この点、安藤鑑定意見(14頁)は、以下のとおり指摘している。

「下北沢のライブハウス『GARAGE』の経営者によると、開店から現在(2016年12月12日)までの24年間で原告の委託会社が調査のために来店したのは、わずか3回だそうである。一方で鑑定人がヒアリングした都内のライブハウスによると、原告から1年に3回の頻度でサンプリング調査を依頼されるそうである。…これでは実態に即した使用料の分配が行われるはずがない。このような偏向的な調査方法は早急に是正されるべきである。」

このように、無作為抽出であるべき標本(サンプル)の選定において、ある店舗はごく稀にしか調査を依頼されず、ある店舗はその24倍の頻度で調査を依頼されているとの偏向が指摘されている。

  •  結論

以上のとおり、JASRACの上記運用は、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配せず、また実用的な曲別処理システムの提供を不当に懈怠するものであり、「委託者の利益」及び「利用者の利益」のいずれをも「害する」ものであるから(管理事業法20条)、不透明なブラックボックス処理ととともにただちに改善される必要がある。

このため、JASRACに対しては、社交場(ライブハウス)の生演奏に係る管理事業について、実際に演奏された管理著作物の委託者に著作権使用料を分配するための実用的な曲別の処理システムを整備するよう命じる業務改善命令(同法20条)を発出する等の適切な措置を講じられたい。

  •  結語

ライブハウスでJASRAC楽曲を用いたライブを行う場合、実際に曲を演奏するプレイヤーは許諾申請すらできず、しかもライブハウスの「経営者」がJASRACに支払う使用料は実際に演奏された曲のライターに分配されないとの構造的な矛盾に直面する。

そして、ライブハウス側とJASRACとの間で使用料額等について争いが生じた場合、JASRACの「言い値」をライブハウス側が呑まない限り、その店舗がライブを開催することはできない運用になっており、これによりJASRACの意に反するライブハウスは事実上運営の途を閉ざされる結果となる。

このように、JASRACは、金銭を取り立てる場面では、ライブハウスからの徴収をシビアに行う一方、金銭を支払う場面では、利用された楽曲を把握して作者に正しく分配する責務を果たしていない。

(昨今の音楽教室の問題においても、JASRACは、使用料徴収に踏み切る理由として、作者をリスペクトしてほしいとの点を強調しているが、JASRAC自体、徴収した使用料を作者に正しく分配していない。)

JASRACが圧倒的な規模、シェア及び影響力を有するわが国最大の音楽著作権管理事業者であり、わが国唯一の演奏権管理事業者であることに鑑みれば、JASRACの演奏権管理が不適切である場合、わが国の演奏権管理そのものが不適切であるということにほかならない。

そして、ライブハウスという施設が、プロから高校生等のアマチュアまでの幅広いミュージシャンに演奏・発表の機会を与え、国民にも生の音楽に触れる身近な機会を提供し、もってわが国の音楽文化を下支えする場であることにも鑑みれば、ライブハウスにおける生演奏の健全化を阻害する運用は改められる必要がある。

このため、上申者は、権利者の保護、利用の円滑化ひいては音楽文化の発展のために、上申の趣旨記載の各命令その他の適正な措置及び指導が行われることを切に望み、本上申に及んだ次第である。

以上

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[1] 人気アイドルグループ「Berrys工房」のメンバーである嗣永桃子〔つぐなが ももこ〕がリーダーを務める3人組アイドルユニット

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[2] なお、JASRACからは、ライブハウスにおける演奏曲目を把握することは現実的に不可能であるとの反論がなされることも予想される。しかし、ライブハウスにおいては、出演者の多くが自らオリジナル曲を創作する(著作権意識の高い)プロやセミプロの音楽家である上、基本的に1日に1組(多くて数組)しか出演せず、その出演スケジュールは出演者(バンド)の名前(名称)を付して店舗ホームページ等において公開され、その痕跡(証拠)は社会に残るのであるから、匿名の不特定多数の客が出入りして歌唱・演奏行為を行うカラオケボックスなどと異なり、ライブハウスにおいて演奏者を把握し、利用許諾を得るよう促すことは可能である。そして、現に「コンサート」の分野において、オンラインの曲別申請のシステムを稼働させ、これにより実際に演奏される(された)曲目を把握する運用を行っているのであるから、「ライブハウス」ではこれが不可能であるとの論は成り立たない。

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[3] JASRACは、ホームページにおいて、「統計学に基づいて一部の契約店舗の利用曲目を調査」し、そこで得た利用曲目を「分配資料としています。」と説明し、「サンプリング調査によるものは分配規程上にその根拠を定め、実施する上でのルール等を細則等で詳細に規定しています。」としている。しかし、分配規程においては、12条2項に「前項第2号に定める第7類社交場使用料の分配対象著作物は、抽出した標本に基づいて確定するものとし、標本抽出の方法は、使用の時期、地域等を参酌し、理事会の承認を得て、細則で定める。」としか定められておらず、分配に係るルールは明らかにされていない。

上申書要旨全文:funky末吉BLOG参照

寄付金報告!残額79,111円になりました!

2017-08-31現在の寄付金総額 79,111円になりました。

ご支援ご協力頂いている皆々様、毎月定期的にご寄付いただいている皆様、いつもありががとうございます。

JASRACの浅石道夫理事長は音楽教室に対しても”「創作者の多数は経済的に弱い存在。1円たりとも還元しないのはおかしい」“と言ってますが、BGM利用やライブハウスでの演奏利用で包括許諾契約している場合、ほとんどの創作者に1円たりとも還元していないのはJASRAC自身です。だれに還元したのか? その根拠すら公開していません。また、音楽教室から売上高の2.5%を音楽利用許諾料金として徴収する。というJASRACの徴収方針は包括契約であり、BGMやライブハウスや音楽教室での利用楽曲をJASRAC自身が調べなければ正確な分配すら出来ない事をわかっていて徴収しようとしていますから、これはJASRACによる確信犯的詭弁です。

現在このように、JASRACの音楽著作権運用の間違いを是正しようとする、日本国民の全てを巻き込んだ音楽業界全体の大きな動きの中にあります。

JASRACの不誠実な著作権管理についての上申書

ファンキー末吉は平成29年8月18日、文化庁に対して「JASRACの運用の問題点」として、文化庁に上申書を提出しました。

今後も、JASRACが不誠実に取り仕切っている音楽業界全体の動きにご注目頂き、ファンキー末吉が訴える「日本の音楽の正しいあり方」の行方を一緒に見守って下さい。願わくば、今後の活動のためにご寄付頂けると幸いです。

よろしくお願いいたします。

ファンキー末吉:不誠実な著作権運用を続けるJASRAC是正に向け文化庁に上申書提出

昨日、2017年8月18日(金)ファンキー末吉は、不誠実な音楽著作権運用をこれまでの長い年月続けているJASRAC是正に向けて、文化庁に上申書を提出いたしました。

JASRACの音楽利用者に対する言い分は、いつも決まって「音楽は無料じゃない。良い音楽を利用した方たちが利用料を支払い、私たちJASRACが作詞者や作曲者などの著作権者に分配し還元することで、より良い音楽が生まれるのだ」という、当たり前の主張を続けておりましたが、ライブハウスなど一部の社交場と独占契約して利用料徴収している包括契約は【利用曲を調べない利用料徴収方法】です

「JASRACの使用料分配は不透明」ファンキー末吉さん、文化庁に調査求める上申書 by弁護士ドットコム

包括契約では分配も還元もされていません。

また、JASRACは「統計学を利用したサンプリング調査で、JASRACが指定した店舗で利用曲を調べているが、全てを正しく分配する事が出来ていない」と認めています。

それも、全体のたったの2%だ。と言うのです。JASRACの言う全体って年間1,000億円を超える徴収額ですから、2%=20億円以上です。その分配が正確で無いなら、なぜ? キチンと調査をしないのでしょうか? JASRACにとってはたったの2%かもしれませんが、分配根拠を明かせないようなブラックボックスに年間20億円以上もプールできるような構造になっているJASRACは、不誠実な著作権管理団体といわざるを得ません。

JASRACを是正できるのは、文化庁文部科学省公正取引委員会だけです。

なぜなら、警察も取り締まれないように巧みに法律を利用し、裁判所や法曹界、弁護士にいたるまで、JASRACが文化事業と謳って毎年おこなっている大学への寄附講座が示すとおり、成蹊大学、慶應義塾大学、立命館大学、明治大学法科大学院など、これからの日本の法曹界を担う優秀な人材を大学が育成している時に、JASRACはシッカリ噛みこんで寄付をしてJASRACという法律の影響力を行使しています。

上申書の扱いも文化庁のサジ加減

JASRACによる利用料徴収や、分配の不透明な包括契約しか選ばせない契約方法など、日本国内での国内外を含む全音楽の音楽演奏許諾に関してはJASRACが100%独占的に許諾権を持っています

一般のライブハウスなど音楽演奏の場で、不透明な分配に疑問を持って「なぜ分配されない利用料を払わなければならないのか?」という問いを持って、不透明な包括契約を拒み「一曲ごとに利用料を支払ってシッカリ分配してもらいたい」と訴えても、それを決めるのは全てJASRACなんです。全部サジ加減。

しかもライブハウスに対しては「包括契約しか選ばせるな」というJASRAC内部文章があります。(ファンキー末吉を支援している弁護士による調査)*最後に書きましたが、心配しているG.Uさんからの内部告発では有りませんから、JASRAC関係者はこれ以上個人を抑圧したり虐める事はやめて下さい

今回の文化庁への上申書提出も「上申書を文化庁が受け取るかどうか? 上申書を受け取っても読むかどうか? 上申書を読んでも調査をするかどうか? 上申書にある調査をしてもファンキー末吉に対する報告義務は無く、JASRACによる著作権運用をどう考えるかは、全て文化庁の裁量で決めることだ」というのが文化庁の立場です。

文化庁のサジ加減でJASRACが是正されるかどうかが決まるのです

全日本国民の皆様のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

心配事:一般社団法人日本音楽出版社協会の会長 桑波田景信さんが代表を務める日音の社員の方で、音楽著作権を熱心に勉強していた明治大学卒のG.Uさんという方が、突然Facebookでのメッセージのやり取りやスレッドを全て削除してアカウントも削除してしまいました。JASRACの内情や現状を積極的に詳しく教えていただける方だったので感謝しているのですが、まさかとは思いますが、JASRACに余計なことをするなと虐められて、萎縮してしまったのだとしたら悲しいことなので、心配しています。これからも、立場は違えど、日本の音楽のためにご活躍くださいませ。

*報道各社の皆様へ:日音のG.Uさんへの取材を希望する方は、断られるのかもしれませんが、ファンキー末吉支援者の会 支援者代表 河崎覚 (Facebookアカウント)(Twitterアカウント)に直接お問い合わせ下さい。

【JASRACは暴力団関係者との契約を”うれしい”と言い放つ】

2016年度、#JASRACは、音楽利用許諾料として集めたお金=ライブハウスなどの社交場生演奏から包括利用許諾契約で得た著作権料収入=年間20億円(全体の2%)が正しく分配出来ていない事を認めた上で(週刊文春7月20日号参照)、自民、公明、民進、日本のこころ、の四党所属議員で著作権に造詣の深い政治家のパーティー券を1年間で240万円購入している。

<音楽教室からも取り立て>
<法的措置1500件>
JASRAC“コワモテ会長”と対決60分

その上、暴力団関係者に”カレー”を投げつけられながらも、契約を結べた時は”うれしい”と言い放つ。
 
JASRACは、日本国民から集めた音楽利用料という”お金”を政治家に循環させ、著作権法と文部科学省と文化庁を使ってJASRACの権力を保ち、暴力団関係者とも手を組み、反社会的勢力の音楽利用営業を法的に幇助する非常に悪質な著作権管理団体だということが判りました。

2017年7月21日(金)の朝日新聞朝刊

多くの音楽利用者が訴える「#JASRACの徴収はヤクザのみかじめ料と同じだ」という受け止め方は、まんざら嘘ではないようです。普段から暴力団関係者を取り締まっている警察官がコワモテであったり、見かけヤクザと見紛う事はよくありますが、JASRACの業態や訴訟による脅迫姿勢は、正に暴力団や反社会的勢力が法律を使って一般市民を脅しているのと変わりありません。

安倍首相は、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法を可決させましたが、私たちのとても身近にある音楽の著作権管理をしているJASRACが、まさか暴力団や反社会的勢力が営利目的で音楽を利用できる契約を普段から喜んで締結している事には驚きを隠しきれません。